菅直人首相は山口県宇部市出身

山口県出身の総理大臣は9人であり8人とするのは誤り。

FRIDAYが山口県当局の対応(菅元前首相の排除)を指摘。

血税300万円 投入地元・山口県庁内で安倍首相“礼賛企画”開催

(2020年)2/21(金) 11:02配信  FRIDAY DISITAL 

等身大パネル 3万1100円

  「「手続きのために県庁に出向くと、毎回イヤでも目につくんです。正面玄関から入ってすぐのところで、大々的に開催されていましたからね。すべての山口県民はすべて安倍首相の支持者というわけではないことを県は考えてほしいですよ」(山口県在住の50代会社員)
昨年12月、山口県庁1階のエントランスホールで26日間にわたり、首を捻(ひね)りたくなるような催しが開かれていた。
   『山口県の総理大臣展』だ。
   主催は山口県。安倍晋三首相(65)の総理在職日数が歴代最長となったことを記念して、山口県出身の8人の総理をパネルによって紹介した企画展である。
だが、実際のところは、安倍首相をこれでもかと褒(ほ)め称(たた)えるためとしか思えないイベントだった。

 まずホールの入り口上には、安倍首相を祝う巨大な横断幕。さらにポスターには、山縣有朋、桂太郎、佐藤榮作ら「歴史的人物」たちよりも目立つ位置に、安倍首相の写真がドーンと掲載されていた。
   展示内容は、前半こそ8人のゆかりの地や、安倍首相以外の7人の経歴や業績を紹介していたが、後半から「安倍一色」にガラリと変わる。安倍首相の生誕から現在までをたどった詳細な写真入り年表や、通算在職日数1位を示すパネルから始まり、これまでの政治活動を紹介する写真パネルが8枚も続く。さらに極めつきは、安倍首相と記念撮影が自由にできるとアピールされた等身大パネルだ。
これらの展示物はすべて税金によって作成されたものである。ちなみに菅直人元首相は山口県出身だが、選挙区が同県ではないことを理由に外されている。
   情報公開請求によって明らかになった契約書などによれば、山口県がこの催しのために業者に支払った金額はピッタリ300万円(横断幕は別途)。
◆県知事は自民党べったり
 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長を務める弁護士の新海聡氏はこう憤る。
  「現職の政治家で自民党総裁である安倍首相の在職最長を、山口県が公費を使って祝う必要があるのでしょうか。県庁全体が安倍首相の後援会になった印象さえ受けます。憲法上の民主主義の原則からすれば、地方自治体が特定の政治家の選挙運動につながる偏った支出をしていいわけがなく、自治体運営の政治的中立性を害する行為だと思います。長期政権によって、そうした感覚が鈍っているとしか思えません」
   山口県の村岡嗣政(つぐまさ)知事(47)は元総務官僚で、自民党の推薦を受けて’14年に初当選。’17年には自民党に入党し、同党山口県連の全面的な支援を受けて、’18年に再選を果たしている。今回の催しに関する内部文書をいち早く入手したジャーナリストの三宅勝久氏はこう指摘する。
  「村岡知事の『選挙運動費用収支報告書』によれば、’14年の選挙の際に、自民党本部と自民党山口県支部連合会から計800万円の寄附を受けています。’18年の二期目の選挙でも、自民党から同様に、推薦料の名目で計400万円の寄附がなされています。また、村岡知事は選挙事務所として自民党下関支部を使っていました。安倍首相を持ち上げる企画展は、そうした知事の選挙支援に対する『お礼』、及び自民党の選挙のためと言うほかなく、県の公金が使われたことは、はなはだしい公私混同です」
  一方、山口県庁の担当者は本誌の取材に対してこう回答する。
   「『山口県の総理大臣展』は、本県出身の8人の総理大臣の歴史と業績やゆかりの地等を紹介し、県民の皆様の郷土への誇りと愛着を高めていただくために開催したものであり、問題はないと考えている」
 また、等身大パネルは安倍首相サイドの了解をとって作成したのだという。「桜を見る会」と同様に、安倍首相の厚顔ぶりが露になった。」
 『FRIDAY』2020年2月28日号より

 

 【山口県庁は、自治体の政治的中立性を疑問視され、公私混同を指摘されながら反省と県民への責任は感じられず、「問題はない」と突き放している。山口県政では、県庁正面玄関ホールという公的な場所の使用だけでなく、財源不足の中、貴重な県税が県政多数の特定政党の宣伝に使われる異常な事態に陥っている。フライデイの発信により、この報道は、日本国内だけでなく世界からも山口県が異常で無法な自治体とみられるエビデンスとなる。

 また、前記のように、安倍元首相を山口県出身とするなら、菅直人元首相は明らかに山口県宇部市出身である。首相官邸HPは首相「出身地」を戦前は「出生地」、戦後は「選挙区」としている。「落下傘候補」がいるように、選挙区は政党の都合で決定しており、選挙区は必ずしも出身地とはいえない。

 「出身地」とはゲマインシャフトに由来し、「選挙区」はゲゼルシャフトに由来すると考える。すなわち、子どものころ育った共同体・地域コミュニティの「ふるさと」が「出身地」であり、社会人となっての機能的組織・利益社会の「勤務地」が「選挙区」と考える。出生し、成長した場所が「出身地」であり、官邸HPが選挙区を出身地としているのは、安倍元首相を山口県出身とし、菅元首相を山口県出身から排除するための、ためにする基準の設定ではなかろうか。

 フライデイの指摘は、山口県政史上の汚点として歴史に記録されると考える。

(2020.9.16)更新】

 

『内閣総理大臣の一覧』(ウィキペディア)2020.9.2。この一覧表の出身地(安倍晋三・東京都。菅直人・山口県)は自然である。首相官邸HPでは、戦後の首相の「出身地」は選挙区としているので、安倍晋三・山口県、福田康夫・群馬県、鳩山由紀夫・北海道、菅直人・東京県(ママ)となっている。選挙区が「出身地」と言えるのだろうか?
『内閣総理大臣の一覧』(ウィキペディア)2020.9.2。この一覧表の出身地(安倍晋三・東京都。菅直人・山口県)は自然である。首相官邸HPでは、戦後の首相の「出身地」は選挙区としているので、安倍晋三・山口県、福田康夫・群馬県、鳩山由紀夫・北海道、菅直人・東京県(ママ)となっている。選挙区が「出身地」と言えるのだろうか?
『歴代内閣』首相官邸HPから管理者転写(2020.9.1)以下2画像。
『歴代内閣』首相官邸HPから管理者転写(2020.9.1)以下2画像。
出身地「東京県」とはあり得ないミスで、不可思議。官邸が「山口」県となっていたのをあわてて書き換えたのでは?なお、現在は「東京都」に書き直されている。
出身地「東京県」とはあり得ないミスで、不可思議。官邸が「山口」県となっていたのをあわてて書き換えたのでは?なお、現在は「東京都」に書き直されている。

菅義偉首相は「秋田県出身」ではないのか

 菅義偉(すが-よしひで)が総理大臣に就任した。官邸HPの「出身地」は選挙区のある神奈川県になるが、生まれて高校まで育った「ふるさと」秋田県が出身地ではなかろうか。菅直人元首相も同様である。

 前記のウィキペディアの総理大臣年表の出身地の記載が自然である。現在官邸HPが採用している選挙区を「出身地」とする記載は誤っていると管理者は考える。

2020.9.16更新

 

 菅義偉が首相となった。日刊スポーツは、官邸HPが出身地を戦後は選挙区としていることから、「神奈川県」出身の3人目の首相とされることに疑問を呈している。菅義偉首相自身は秋田県で生まれ育ったと説明しているし、秋田県民も秋田出身と思っている。(『日刊スポーツ』2020.9/8(火)7:30配信。(クリック・外部リンク)

 菅直人元首相自身は、17才まで生まれ育ったふるさと宇部市を、「私は宇部の水で育ちました」と、出身地が宇部市であることに誇りをもって答えている。山口県政策企画課は「秋田県は秋田県で判断すればいいのでは」といいながら、官邸HPを根拠に、菅直人元首相を山口県出身の首相から排除している。各自がその立場になったとして想像すれば、山口県は冷たいと感じるのではなかろうか。

 村岡嗣政山口県知事が菅直人元首相の母校宇部高校(2年生の夏まで)の後輩であることを考えればなおさら冷たく感じる。

 菅義偉首相は何と答えるのだろうか。

2020.9.17更新

 

出身地(「ふるさと」・秋田県湯沢市)と選挙区(「地元」・神奈川県)を区別した湯沢市

 「湯沢市は菅氏の選挙区(神奈川2区)ではなく出身地であり、郷土出身の人をたたえることは政治的な「支持」には当たらないと判断。公職である総理大臣への就任を祝うということでもあり、公費負担による掲示は可能という結論に至った。」(『秋田魁新報』2020.9.13)

 湯沢市は、検討の後、「出身地」(「ふるさと」・秋田県)と「選挙区」(「地元」・神奈川県)を区別する判断をした。リーズナブルで的確な判断を示したと考える。

2020.9.19更新

 

異常な山口県政。菅元首相排除へ執念

「山口の首相8人紹介 県、195万円かけパネル展」(朝日新聞2020.9.24やまぐち面)の記事に関する私見

 

 県庁1階玄関ホールで「山口県の総理大臣展」がはじまった。安倍晋三前首相の退任を受け、8人の足跡を通して県民に地元への愛着や誇りを持ってもらうことをねらいに、県が195万円をかけて企画した。

 

 今回も菅直人元首相は山口県宇部市出身でありながら、県政は、山口県出身の首相から除外し、県出身首相を8人とし、菅元首相を入れて9人としなかった。宇部市は山口県ではないのだろうか。菅義偉首相の誕生を、選挙区は神奈川県だが、秋田県湯沢市出身として、秋田県民や湯沢市民が温かく歓迎している報道と比較すると、山口県政は菅元首相に冷たい対応である。ここまでくると県政は県議会で絶対多数の自民党に忖度して旧民主党の菅元首相を意図的に排除しているとみられてもやむを得ない。

 

 平氏に《あらざらむ人は皆人非人(にんぴにん)なるべし『平家物語』》とあるように、《自民党にあらざらむ人は皆人非人なるべし》という政治状況といえる。自民党と自民党支持者以外は皆、非山口県人とみなす県政と自民党中心の県政運営を反映しているのではなかろうか。この状況は戦時中の《非国民》という言葉による排除を彷彿とさせる。大胆に言えば、菅元首相は旧民主党であり、自民党でないので《非山口県人》とみなしているのではなかろうか。

 

 村岡嗣政知事は「本県が生んだ歴代総理の数々の功績を振り返り、ふるさと山口への誇りと愛着を高めていただきたい」と述べた。菅元首相の生まれ育ったふるさとは宇部市であり、宇部に生まれ育った村岡知事の宇部高校の先輩である。村岡知事は、宇部を離れている間に、ふるさと宇部への誇りと愛着をなくしてしまったのだろうか。早くそのことに気付かれることを願っている。

 

 この展示自体が「政治色が強すぎる」という識者の見解が掲載されている。

 「安倍氏は現職の衆議院議員で、来秋までに衆院選が予定される中、政治色が強すぎるイベントだ。県費を使ってやるべきではない。自治体のあるべき姿は、多様な政治信条を持った住民全体を見据えること。特定の政治家や政党を支持するような施策は慎むべきだ。」(新藤宗幸・千葉大名誉教授(地方自治論))(以上の「」は『朝日新聞』2020.9.24)

 

 最後になるが、『朝日新聞』の記者は、菅義偉首相の「出身地」をめぐる論争(ふるさと「秋田」か官邸HPの選挙区「神奈川」か)を知らないわけではないだろう。記事は、今回の「山口県の総理大臣展」から菅元首相が除外されていることに意図的に触れていないという印象を受ける。なぜ触れないのか、触れない理由を書く職責があるのではないか。もし知事と自民党に忖度して触れなかったとすれば、「特定の政治家や政党を支持するような」記事に陥っていると考える。

2020.9.24

 

ここまで堕落した山口県政。副知事略式起訴、罰金、辞職

 山口県政が自民党のために行われていたという信じられない事実が報道された。県民として恥ずかしい限りである。副知事を片腕とする村岡嗣政県知事の責任は重い。県民は、県知事の了解なしに副知事が独断で行ったとは考えていない。事情聴取はなくても、監督責任者として、自らを処分して身を律するのが県知事としての務めである。

 

 「(2021年)10月の衆院選山口3区に自民公認で立候補し、当選した林芳正外相の後援会への入会を部下に勧誘させたとして、山口区検は(12月)24日、山口県の小松一彦副知事(65)を公職選挙法違反(公務員の地位利用)の罪で山口簡裁に略式起訴し、発表した。小松副知事は簡裁から罰金30万円の略式命令を受けて即日納付。同日、村岡嗣政知事に辞職を申し出て受理された。」「小松氏によると、4月上~中旬ごろ、自民党関係者から「(林氏の)後援会のことをよろしく頼む」と頼まれ、副知事室に約3千枚の入会申込書とリーフレットが持ち込まれた。これらを部次長級職員らに配布。5月中旬には名前や住所が記入された申込書約1500枚を回収し、依頼してきた関係者に直接渡したという。」(『朝日新聞』2021.12.25)。

 

 「小松副知事は副知事室に5人を呼び、後援会の入会申込書が入ったリーフレットをそれぞれ数十枚から数百枚渡した。5人は勤務時間中に職員にリーフレットを手渡し、後援会への入会を勧誘していた。」。参議院の補選においても、「ある職員は9月、勤務する県庁内の一室で上司から「よろしく」と言われ、封筒を渡された。中身は補選に立候補する自民党候補者のリーフレットで、後援会の入会申込書が挟み込まれていた」。この職員は、「「こんなことを依頼する感覚が信じられない。罪悪感を感じないのが不思議」と憤りを覚えたたという。」

 

 「公選法に詳しい新藤宗幸・千葉大名誉教授(行政学)は「21世紀にこのようなことが行われているとは信じられず、重大な問題だ。同様の事案は昔に比べて浄化されており、山口県は周回遅れだ」と話す。」(同2021.12.24)

 

 小松副知事は、「(県政に対し)『本当に大丈夫か』という気持ちでいらっしゃる方々が多いと思う。ご心配をおかけして大変申し訳ない」(同前)と語っている。「ご心配」ではなく、県民に「大迷惑」をかけた。

 

 山口県では、このように自民党の「奴隷」にならないと県庁や県教委で出世できないことが

あらためて表面化した。これでは、県職員、教職員はもとより、県民、生徒・児童は県政を信頼しないし、山口県に未来はない。こんな県庁や県教委ではなかったのに、いつからこのようになってしまったのだろうか。山口県政は落ちるところまで落ちてしまった。

 

 この事件に対し、県は7人の調査チームを立ち上げた(同2021.12.29)。しかし、外部弁護士以外は県人事課の職員である。国政でもそうであったが、身内の職員によるヒアリングでは真相究明はできない。また、「自民党関係者」は調査の対象としていない。しかし、人事に議会の承認が必要な副知事に対し、違法行為とわかっているのに入会申込書を手渡し、県庁の組織を使って選挙運動するように強要する、ほぼ違法行為を行った。この自民党関係者が誰であったかすら県民は知らないままにされる。これでは今から調査結果に期待ができない。

 

 12月22日、自民党は、来年2月6日投開票の知事選で、村岡知事の推薦を決めた。山口県の夜明けまでには相当な時間がかかりそうだ。しかし、県民は、山口県が誇りを取り戻すまで県民であることから逃げるわけにはいかない。たとえ何十年かかってもである。

2022.1.6

 

教員は、山口県教育界の堕落に反発し、教育を再生せよ。

「後援会勧誘 部局間で濃淡」「教育庁8割超」(朝日新聞2022年(令和4年)5月7日の記事)

 「自民党の林芳正衆院議員(山口3区、外相)の後援会入会をめぐる公職選挙法違反事件で、入会を勧誘するよう上司から依頼を受けた県の課長級職員の割合が所属部署によって3~9割台と開きがあり、関わりに濃淡が見られることが朝日新聞に情報開示されたアンケートの回答文書からわかった。」

 

 「前副知事が罰金30万円の略式命令を受けた公選法違反事件を受け、県の調査チームは1月、部長級、部次長級、課長級の幹部職員にアンケートを実施。」(以上『朝日新聞』2022.5.7)

 

林芳正衆院議員後援会入会の協力依頼を受けた主な部局の課長級以上の職員の割合。(『朝日新聞』2022.5.7)
林芳正衆院議員後援会入会の協力依頼を受けた主な部局の課長級以上の職員の割合。(『朝日新聞』2022.5.7)

 教育庁の課長級以上の幹部職員といえば、県立高校の場合、校長職に当たる。上司や同僚から後援会入会の協力依頼を受けたのは「教育庁が81%(19人中16人)と8割を超える」と教育界の惨憺たる現状を露呈した。いい加減にせよ!全員頭を丸めて出直すべきだ。ここまで山口県の教育界は堕落してしまった。これが山口県の教育者のすることか。18歳で選挙権のある生徒にも入会の勧誘をできるのか。生徒に説明できない不法行為を教育者がするな!

 山口県教育委員会(教育庁)の繁吉健志教育長の関与が疑われるが、関与しているとするなら、上司の不法行為に反論するのが教育者の執るべき道である。農林水産部(76%)や土木建築部(73%)を上回る割合とは信じられない。自民党のための教育ではなく、人格を形成し、真理を追究し、平和で民主的な社会を実現するのが教育者の使命である。それは、命がけで守らなければならない教育者の職責である。そして、多くの山口県の教職員の先人たちは職責を果たし、山口県の教育を作り上げてきた。

 特に人事と予算の権限を持つ教育庁の幹部職員は、長いものに巻かれるのではなく退職届を胸に立ち向かう気概と山口県の教育のために尽くす使命感がなければならない。何のために教職に就いたのかよくよく考えるべきだ。教育者が出世という私欲により不法行為をすることは山口県の教育を滅ぼす。

 校長は、「ひらめ」のように上をみて教育をするのではなく、体育館で生徒の方を向いて生き方を講話し、人間形成しなければならない立場にある。県庁では上を向き、学校では生徒の方を向くご都合的な生き方をする教育者は信用できない。しかし、残念ながら、現在の山口県教育庁は、生徒ではなく、自民党の方を向いて教育している実態が、今回の不法行為が習慣化していることで明らかになった。

 依頼元は自民党からであろう。自民党議員は、たびたび教員に対して「教育の政治的中立性」を主張する。しかし、独立的、中立的な教育行政をしている教育庁に、違法で組織的な入会を勧誘している。山口県の自民党と教育庁は、「教員の政治的中立性」という言葉を二度と使うべきでない。

 山口県教育の責任者である行政出身の現教育長は、生徒を向いて教育をした経験がないのだろうが、そのまま居座るとしたら、もはや山口県の教育は死んでいる。19人のうち関与していない幹部職員が3人いたこと、大多数の教職員は良識があることを信じる。教職員は、山口県の教育界の再生と信頼回復のために尽力していただきたい。

2022.6.3

 

政治に歪められて瀕死の山口県教育。優秀で情熱のある教員が県外に流出する事態。

 山口県教育は自民党県議の圧力から独立できない教育長により歪められている。

その典型的な例が毎日新聞(2015.7.3)が報じた次の教育への介入事件である。

 

<安保関連法案>山口の高校授業で模擬投票…県教委は問題視」
毎日新聞(2015年) 7月3日(金)21時33分配信

 「山口県柳井市の県立柳井高(小林真理校長)で先月、安全保障関連法案について2年生の生徒が自分たちの考えを発表し、どの意見が説得力があるかを問う模擬投票をする授業があった。これについて、浅原司・県教育長は3日、県議会で「法案への賛否を問う形になり、配慮が不足していた」と授業を問題視する見解を示した。さらに県教委として「指導が不十分だった」と監督責任にも言及した。来年の参院選から18歳の高校生が投票権を行使する公算も大きい中、専門家から「時代錯誤的で、かつ現場を萎縮させる発言だ」と批判が起きている。

 県議会の一般質問で、笠本俊也県議(自民)が「政治的中立性が問われる現場にふさわしいものか、疑問を感じる。県教委としてどういう認識なのか」と尋ねた。浅原教育長は投票を実施した点を問題視したうえで「(県教委として)主権者教育の進め方について学校への指導が不十分だった」とし、今後、政治的中立性の確保や授業の進め方、資料の取り扱いなどを盛り込んだ新たな指針を学校に示すと述べた。

 県教委などによると、模擬投票は先月24日に2年生の「現代社会」の授業(45分間)であった。生徒たちは同22日の授業(同)で、教諭が配布した日経新聞と朝日新聞の記事を参考に政府与党の見解や野党の主張、憲法学者の意見などを学習。翌日までに各自が自宅学習を行い、集団的自衛権について「どんな時に行使するのか」「他国の領域で行使する可能性は」「違憲か合憲か」などの論点を、B4判の資料にまとめて同24日の授業に臨んだ。

 同24日は生徒たちは4人ずつ8グループに分かれて議論し、それぞれ法案への賛否を明らかにした。2グループは「自衛隊の活動範囲を広げないと米国を助けられず、友好関係にひびが入る」などと賛成を表明し、残りの6グループは「戦争に巻き込まれる可能性がある」「集団的自衛権の定義があいまいだ」などの理由で反対と主張。法案の賛否ではなく、どのグループの意見が最も説得力があったかを問う模擬投票を実施した。その結果、「他国を守るのであれば、非戦闘地域での食料供給や治療(医療)でも貢献できる。自衛隊が戦争に巻き込まれてからでは遅い」と反対を訴えたグループが最多の11票を獲得した。

 高校によると、この2回の授業の前にも、2時限を使って安全保障関連の授業をした。授業を担当した教諭は同24日、毎日新聞の取材に「一番の狙いは政治への関心を高めること」と説明。翌日の新聞で毎日、朝日、読売、中国の各新聞などが好意的に取り上げた。

 浅原教育長は取材に対し「配布した資料が新聞2紙では少ない。全体像が完全でない資料を使い、かつ時間も十分でない形で投票させた。高校生に賛否を問うこと自体、私自身は微妙だ」と答えた。【松田栄二郎、蓬田正志】

 ◇大東文化大の村山士郎名誉教授(教育学)の話

 安全保障関連法案に限らず、原発の必要性や消費増税など、是非の定まらない事象は多々ある。生徒が自由に意見を述べ、討論できる環境で結論を出したのであれば、問題はない。そこに教育長が口を挟むのは、教育の自由を奪うことを意味する。来年の参院選から投票権が18歳以上に引き下げられ、高校生も選挙権を持つ見通しになった。政治教育に試行錯誤をしている現場を萎縮させることにもつながる、時代錯誤的な発言だ。 」(以上『毎日新聞』2015.7.3) 

 

 この授業は、各新聞社が好意的に報道しているように、集団的自衛権に賛成と反対の立場を報じた2つの新聞記事を比較・参考にして、賛否の異なるチームが論理的に討論するディベート形式で行われた。ディベートは、テーマに関する賛否のグループの討論を聴き、第三者役の生徒(聴衆・オーディエンス)が、より説得力があると判断したグループに投票して勝敗を決める。これは、全国ディベート選手権でも行われる、ルールが定められた確立した討論方式である。賛否両論ある時事問題に対し、生徒が資料をもとに思考、判断、表現する主体的で、対話的で、深い学び(アクティブ・ラーニング)という新学習指導要領の趣旨を反映した先進的授業である。賛否の結論や勝敗という結果に囚われるのではなく、思考し判断する過程で政治的リテラシーや社会性などを身に付けさせる点に価値がある学習方法である。本来、工夫して授業をした教諭は賞賛されるべきである。

 ところが、浅原教育長は、県議の質問に対し、先進的な授業を実施した教諭を擁護するどころか、県議に迎合して、授業を問題視した。先進的授業の価値が理解できず、県議に忖度した教育長の対応は、専門家から「時代錯誤的で、現場を萎縮させる」と批判された。情けないが、これが山口県教育界の実態である。ちなみに、笠本県議は、集団的自衛権を含む安保法制を成立させた安倍首相(当時)のおひざ元の長門市選挙区の県議(自民)である。教育の「政治的中立性」を問題にしているが、「中立性」という言葉を使って、つまるところ特定政党でしかない自民党の政策を批判しない教育を押し付けている。

 

 柳井高校の校長は年度末の人事でやまぐち総合教育支援センターに異動となった。

 授業を実施した優秀な教諭は、その後しばらくして山口県の教員を辞職し、関西の私立高校に転職してしまった。考えたくはないが、山口県の教育界に絶望したのではないかと推察する。このような優秀な教員が、全国と地域の主要新聞から好意的に評価された先進的な授業したにもかかわらず、逆に、自民県議と教育長が一体になって問題視し、県外に頭脳流出する事態となった。教員は、生涯に約1万人の生徒を教えるので、優秀で情熱のある教員の流出は山口県教育界の大損失である。集団的自衛権には賛否両論があった。特定政党の政権が打ち出した憲法問題にも関連する政策に対して、主体的に思考することを認めず、自党の政策に追随させる「時代錯誤」の教育を強制していたら、山口県も日本も滅びてしまう。

2022.6.3

 


菅義偉前首相の出身地は「秋田県」(官邸HP)

 官邸ホームページの首相出身地は戦前は出生地、戦後は選挙区とし、この基準により菅直人首相の出身地を東京都としてきた。

 しかし、今回、菅義偉首相の出身地を選挙区の「神奈川県」ではなく、出生地・成育地の「秋田県」としており、官邸の基準が変更された。すなわち、首相の出身地は、出生地・成育地と選挙区のどちらかとなった。安倍晋三首相は、出生地・成育地は東京都で、選挙区は山口県であるが、官邸HPの出身地は山口県のままである。従って官邸の新基準は、首相出身地は、出生地・成育地と選挙区のどちらかにすることに変更された。
 これまで、山口県政は、菅直人首相を山口県出身としない理由を、戦前は出生地、戦後は選挙区とする官邸の基準に従っているとしてきた。官邸の新基準により、菅直人首相は山口県出身の9人目の首相となった。これはだれもが納得のいくものである。

 山口県総合政策部は、「首相官邸のホームページには、『(歴代総理大臣の)出身地は原則として、戦前は〈出生地〉を、戦後は〈選挙区〉を記載』とある。それに従ったということです」(『NEWSポストセブン』2013.2.28)として、安倍元首相の2回目の首相就任に際し、菅元首相を山口出身の首相から「排除」して、菅元首相の映像・パネルを展示しなかった。 

 山口県政は、今後の展示において、菅直人首相を山口県出身の9人目の首相として展示しなければならない。

2021.11.6更新

 


岸田文雄首相の出身地は「東京都」(官邸HP)

〇首相官邸ホームページが「東京都」出身としている岸田文雄首相のプロフィール(ウィキペディア「岸田文雄」)

 東京都渋谷区生まれ。小学校1~3年生はニューヨーク市の公立小学校。3年次途中より千代田区立永田町小学校。千代田区立麹町中学校。開成高校。早稲田大学法学部卒業。

 出生地・成育地は東京都・アメリカ。選挙区は広島県1区。

〇同ホームページが「山口県」出身としている安倍晋三首相のプロフィール(ウィキペディア「安倍晋三」)

 東京都生まれ。成蹊小学校。成蹊中学校。成蹊高校。成蹊大学法学部政治学科卒業。

 出生地・成育地は東京都。選挙区は山口県4区。

〇同ホームページが「東京都」出身としている菅直人首相のプロフィール(ウィキペディア「菅直人」)

 山口県宇部市生まれ。宇部市立神原小学校を経て宇部市立琴芝小学校。宇部市立神原中学校。山口県立宇部高校の2年生の夏に東京都立小山台高校編入。東京工大卒業。

 出生地・成育地のほとんどは山口県。選挙区は東京都18区。

 

 首相官邸ホームページは、首相の出身地の基準を、戦前は出生地、戦後は選挙区としていた。しかし、この基準は矛盾が大きいため、出身地は首相の生まれ育ったところという常識的な場所を基準に加えたと推察される。

 山口県と宇部市は菅直人元首相の出身地は山口県宇部市(官邸HPは「東京都」)とし、山口県の9人目の首相、宇部市出身の首相として歴史に残さなければならない。

2021.11.30

 


菅直人氏は山口県出身首相 伊藤公資料館で書を常設展示 県の見解を尻目に「県生まれに疑いの余地ない」(日刊新周南)