出雲村

グーグルマイマップ。管理者作成。

出雲村の名称は周防国二の宮(周防国一の宮は防府市の玉祖(たまのおや)神社)である出雲神社(位置は地図上)にちなむ。村の中心は山口市徳地堀。

山口県の終期の米騒動発生地・8月31日出雲村

展開

8月 ①16日・②26日・③29日・④31日の4回の騒動。

山口県の米騒動は8月12日に福川町ではじまり、8月31日の出雲村で終期となる20日間。

山口県知事報告(①8月16日の騒動)

アジア歴史資料センターB08090136700『大正七年七月ニ於ケル米騒擾ニ関スル件』≪山口県知事電報≫8月17日。茶色の輪郭は管理者が付けた。

新聞記事

8月16日の騒動

≪關門日日新聞大正7年8月24日≫「●出雲村の暴徒 四名悉く逮捕」。記事略。

 

≪防長新聞大正7年8月25日付≫「●出雲村暴徒」 16日夜、米商方を襲撃し、石を投げ戸障子を破壊し、倉庫入口の空俵に藁を積み重ねて石油を注いで放火した犯人は4名と判明し検挙された。(註・起訴は3名)

 

《大阪朝日新聞大正7年8月18日》

「同(16日)(午后)十二時頃佐波郡出雲村に於て商店の家屋一部を破壊放火し」(17日夜内務省発表)

 

8月29日の騒動

≪防長新聞大正7年9月2日≫「●分署を襲ふ ▽廉賣を實行せざる爲▽村民激昂の結果

「佐波郡出雲村は米價騰貴に伴ひ曩に暴徒起り放火破壊等の亂暴を極めたるが村會は白米一俵十三圓の割にて米商人に販賣せしむることを決議したるにも拘わらず米商人は之れを實行せざるとかにて廿九日夜村民二百餘名堀分署に押し寄せたるも野村署長の懇篤なる説諭に依り無事解散したりといふ」

 

8月31日の騒動・・山口県内終期の米騒動

≪馬關毎日新聞大正7年9月6日付≫「●佐波郡 後の騒擾 首謀者の拘引」抜粋。

「佐波郡出雲村にては曩に騒擾を惹起したるも其の際は野村堀分署長の穏便なる説諭にて一同解散したるが又々去月三十一日不逞の徒堀分署に押しかけ不穏の擧動にも出で兼ねまじき付三田尻警察署よりは巡査四名急行應援したるため解散したるが山口地方裁判所よりも豫審判事出張取調中の所其の首謀者と認むる者十一名に對し令状を執行せり」

司法

騒擾事件調査票

国立公文書館アジア歴史資料センター「米価問題に付騒擾の件2止(14)」(レファレンスコードc08021485500)の「騒擾事件調査票」55~82ページ(番号1527~1554)。次の表は、この史料の中の「騒擾犯人身位別表」(70ページ)です。

  山口県内の騒擾事件で検事処分を受けた人数は、①宇部村、②安下庄(あげのしょう)町、③向津具(むかつく)村、④富海(とのみ)村、⑤須恵村、⑥八坂(やさか)村、⑦太華(たいか)村、⑨出雲(いずも)村(8名)、⑩中関(なかのせき)村の順です。職業別では、米の消費者の鉱夫、漁業従事者が多く、米価高騰が契機となって賃上げや廉売・寄付金要求の騒動が発生しました。

2022.12.17更新

裁判

8月16日の事件

『關門日日新聞』大正7年10月3日。「●縣下米騒動の豫審決定書 放火未遂器物毀棄電信法違反」。要約。

9月30日予審終結決定。

農兼製材業1名(40代)。理髪業1名(40代)。荷馬車挽1名(20代)

放火未遂・電信法1名。電信法・器物毀棄1名。器物毀棄1名。

被告3名を山口裁判所公判に付す。

 

『馬關毎日新聞』大正7年10月4日。「●佐波郡出雲村 米騒動の豫審終結」 。記事略。

 

『馬關毎日新聞』大正7年10月26日。「●生雲(「出雲の誤り・生雲(いくも)村は別の村)」米暴動事件の公判 次回は来月2日」。記事略。

 

『馬關毎日新聞』大正7年11月14日。「●米暴動の脅迫放火 事件裁判二つ」一部。

12日午前10時第二公判、16日判決言い渡し。求刑懲役5年1名。懲役1年1名。懲役8月1名。

 

『防長新聞』大正7年11月14日。「●裁判便り...◇放火未遂」。要約。

12日午前10時より三浦裁判長篠原塚田両判事陪席片尾検事立会で開廷、求刑懲役5年、同1年、同8月。小河弘中両弁護人は減刑を要求して結審。判決は来る16日。

8月26日の事件

『馬關毎日新聞』大正7年10月30日。「●出雲村米騒擾の豫審」。一部。

予審決定、29日公判に移される。

 

『防長新聞』大正7年10月30日。「●出雲暴動終結」。要約。

山口地裁予審終結決定、4名公判回付。8月中旬、細民救済のため村会決議に基づき村費240円、村内有志より寄付金を募集し8月22日から米廉売実施決まる。◆安價に譲渡...米穀商前田繁輔白米20表、新谷熊吉5俵を1表12円で売却すべきところ快諾せず、◆値上げを希望...「貧乏人は憫れなものだあの様にやかましう云はねば米が喰へぬか」と侮辱...幸十、甚五郎憤激、升吉、梅吉ら五六〇名の◆群衆と共に...お前は人間の面を被っていて人間ではないと罵詈し多衆と共に堀警察署前に殺到し...◆話が極まらねば群集は解散せぬ...繁輔に134俵、熊吉に116俵を1俵13円で出雲村役場に売却させ、同役場に財産上不法の利益を得させた。幸十首魁、升吉、梅吉、甚五郎は率先助勢。

30代1名。40代3名。

日稼2名。土木請負業1名。旅人宿1名。

騒擾首魁1名。率先助勢3名。

10月24日審問。検事の論告11月2日。  

 

『防長新聞』大正7年11月14日。「●裁判だより...◇控訴棄却...」

佐波郡出雲村〇〇梅吉の住居侵入事件は控訴棄却となりて無罪(以上山口地方)

 

『防長新聞』大正8年2月6日。「●米騒擾無罪 ▽本縣にては之が嚆矢」。要約、「」は引用。

山口地裁で騒擾罪懲役10月1名、懲役6月2名、罰金30円1名の判決。1月29日広島控訴院開廷、山口町弘中弁護士出廷弁護、2月5日何れも無罪の判決言い渡される。「本縣下米騒擾犯人にて無罪を言渡されしは之を以て嚆矢となす」。 

周辺の風景

山口市役所徳地総合支所(山口市徳地堀)・管理者撮影以下2画像)。
山口市役所徳地総合支所(山口市徳地堀)・管理者撮影以下2画像)。
山口警察署徳地交番(山口市徳地堀)
山口警察署徳地交番(山口市徳地堀)