大学入学共通テスト導入(経過と課題)

大学入学共通テスト

2021年1月16日・17日の実施決定

 1月7日に緊急事態宣言が発出されますが、1月5日、萩生田文科相は大学入学共通テストの実施を発表しました。共通テストは予定通り、1月16日・17日に実施されます。

2021.1.5

 

2020年度、令和3年(2021)1月16日・17日実施予定

 文科省は、2020年度、令和3年(2021年1月16日・17日実施予定)からはじまる大学入学共通テストの実施大綱見直しを発表しました。

 「数学Ⅰ」、「数学Ⅰ・数学A」が70分(10分延長)となります。

 当初計画されていた英語民間試験の導入は延期、国語・数学の記述式導入は見送られました。延期にいたる経過は別ページ(次のボタンをクリック)にまとめています。

2020.10.2更新 


記述式延期・見送り後の実施大綱と出題方法・問題作成方針

 以下のボタンをクリックすると「実施大綱見直し」、「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法等」・「問題作成方針」にリンクします。

 英語は民間試験導入が延期されました。記述式見送りにより国語の試験時間はセンター試験と同じ80分に戻りました。数学①(「数学Ⅰ」、「数学Ⅰ・数学A」)の試験時間はセンターから10分延長され70分となり、数学②はセンターと同じ60分です。(2020.10.2更新)  

 

実施大綱見直し

大学入学共通テスト出題方法、問題作成方針(大学入試センター)

 英語民間試験延期、国語・記述式延期に伴い、大学入学共通テストの「出題方法等」並びに「問題作成方針が次のように変更されました。

2020.6.13最終更新


大学入学共通テスト コロナで学習遅れた受験生 追試検討(萩生田文科相会見 2020年6月12日)

 「萩生田光一文部科学相は12日の閣議後会見で、「(コロナ禍での学習の遅れを取り戻すために)あらかじめ時間を少しほしいという受験生が選択できる追試」も視野に入れていることを明らかにし、議論を文科省と大学・高校団体などとの協議会に委ねる考えを述べた。(中略)各大学の個別入試についても「追試の実施や選択問題の設定を確実に行ってもらうことが重要」と述べた。」(朝日新聞2020.6.13)

 文科省は慎重に検討している。

2020.6.13更新

 

共通テスト「予定通り」

文科省、高校・大学側と合意

 「今年度行う大学入学共通テストについて、文部科学省は17日、高校、大学などの各団体と協議し、予定通り来年1月16、17日実施とすることで合意した。従来は1週間後に行う追試は2週間後に延ばし、コロナ禍で学習が遅れた生徒も受験できるとした。

 文科省によると、共通テストと来年2月に始まる大学の一次選抜、今年11月出願開始の学校推薦型選抜(旧推薦入試)は予定通りとする方針が固まった。9月1日に出願開始予定だった総合型選抜(旧AO入試)は2週間後ろ倒しをする。

 追試は、新型コロナウイルスの潜伏期間をふまえて2週間後に設定。病気などで受験できない人が対象だが、長期休校による学習の遅れを理由に出願時に追試を選ぶことも可能とし、例年は2カ所だった追試会場は47都道府県に拡大。病気などで追試を受けられない場合の追試も、その2週間後に設ける。本試験と追試験の得点調整はしない。

 日程を巡っては、全国高校長協会のアンケートで約7割の高校が予定通り、約3割が延期を要望。全高長は1カ月後ろ倒しを求め、大学などは予定通りの実施を求めていた。(朝日新聞2020.6.18)

2020.6.18更新

 

2020年度に実施される大学入試日程(文科省2020.6.19. 朝日新聞2020.6.18。2020.7.14。)

コロナによる学業の遅れに対応

【2020年】

9月 15日以降 総合型選抜(旧AO入試)出願開始(合格発表は11月1日以降)。

11月 1日以降 学校推薦型選抜(旧推薦入試)出願開始(合格発表は12月1日以降、一般選抜試験期日の10日前まで(共通テストを利用する場合は前日までのできるだけ早い期日))。

【2021年】

1月 16、17日 (ⅰ)大学入学共通テスト

   30、31日 (ⅱ)大学入学共通テスト(全都道府県に試験場設置)①コロナの影響により学業の遅れた者を対象とし、 ②疾病等による(ⅰ)の追試験としても実施。

   25日~2月5日まで 国立大学一般選抜の出願期間(従来は25日~2月3日)  

2月 上中旬 主要私立大の一般入試

   13、14日 (ⅲ)特例追試験 (ⅱ)の追試験として実施。大学入学共通テストを利用する選抜に出願可能。

   25日以降 国公立大学2次試験(個別試験)の前期日程

3月 8日以降 公立大2次試験の中期日程

   12日以降 国公立大学2次試験の後期日程

   22日以降 新型コロナウイルス等で前期・後期日程を受験できなかった受験生に追試実施。(大半が3月22日『朝日新聞』2020.8.1)

 2020.8.1追記更新 

コロナ禍による出題範囲等の配慮

共通テスト科目指定、個別学力検査(2次試験)の出題範囲コロナによる出題範囲等の配慮

《大学入学共通テストの科目指定》

 「例えば、高等学校第3学年でも履修することの多い地理歴史、公民、理科の2科目指定を1科目に減じることや、指定科目以外の科目への変更を認めるなどの配慮を行うよう努めるものとする。」

《個別学力検査の出題範囲等》

「高等学校第3学年でも履修することの多い科目(数学Ⅲ、物理、化学、生物、地学、世界史B、日本史B、地理B、倫理、政治・経済など)の個別学力検査において、入学志願者が解答する問題を選択できる出題方法とするなどの配慮を行うことや、教科書において「発展的な学習内容」として記載されている内容から出題しない、あるいは出題する場合においても、設問中に補足事項等を記載するなど、特定の入学志願者が不利にならない設問とすることなどの工夫を行うものとする。」

2020.6.20

国大協、個別試験(2次試験)で出題範囲に配慮しない方針

 「コロナ禍で学習に遅れが出た生徒らへの配慮として、文科省が各大学に個別試験の出題範囲を例年より絞るよう求めたことを受け、対応を協議している国立大学協会が「出題範囲の配慮はしない」とする方針の素案を作ったことが29日わかった。現在、各国立大学に意見を聞いており、7月の早い段階で方向性を出すことを目指す。」「一方で、受験生が新型コロナウイルスに感染した場合に備え、3月22日以降に追試を設定することや、出願期間を広げることも盛り込んだ。」(朝日新聞2020.6.30)

 

国大協、共通テスト2科目活用変えず。個別試験(2次試験)出題範囲「大学が判断」

 「コロナ禍で学習に遅れが出た高校生がいるため、文部科学省が各大学に今年度に行う入学試験で配慮を求めたことを受け、国立大学協会は13日、一般選抜(2次試験)の出題範囲について、「必要な措置を最大限講じ」ることを求めながらも、具体的な対応は各大学の判断に任せることを決め、発表した。

 一方、高3で学ぶことが多い地理歴史・公民や理科などについては、来年1月の大学入学共通テストの成績の2科目活用は変えないと表明。ただし、新型コロナウイルスに感染するなどして、一般選抜の前期日程や後期日程を受けられなかった受験生のために、3月22日以降に追試を行う方針を示した。各国立大学は今後、今回の方針ににのっとって試験の概要を決め、今月中に発表する。」

(朝日新聞2020年7月14日)

 2020.7.15更新

 

国立大7割、個別試験(2次試験)でコロナ禍に「配慮」(朝日新聞 2020.8.1)

 「コロナ禍で学習に遅れが出た高校生に配慮して、国立大学の7割が、一般選抜の個別試験(2次試験)で「発展的な内容を出す際は補足説明を付ける」など特別な対応をとることが31日、朝日新聞のまとめでわかった。このうち、横浜国立大学は大学に受験生を集めての試験を取りやめる。大規模な公立・私立の20大学は対応が分かれた。」(管理者註:国立全82大学)

 「一方、出題範囲を変更しない大学は、岩手、東京、京都、早稲田、慶應義塾、関西など31大学だった。「総合力を問う問題のため」配慮の必要がないと判断した大学や、新型コロナ感染者が少ない地方の大学、大規模私立大が多かった。」(以上朝日新聞2020.8.1付1面)

2020.8.1

 

「106大学 入試方法変更へ コロナ影響、実技中止も」(「ひらく日本の大学」朝日新聞・河合塾共同調査) (朝日新聞 2020.9.10)

 「緊急調査は6~8月、国公私立の768大学に実施。回答した643大学(回答率84%)のうち「実施方法」を「変更・変更予定」とした大学は、総合型選抜や学校推薦型選抜(旧推薦入試)を中心に、少なくとも106校に上った。」(朝日新聞2020.9.10)

 教育に関する報道が充実している朝日新聞と受験のエキスパートである河合塾の共同調査の今後に期待する。

2020.9.13

令和 3年度大学入学共通テスト実施要項(大学入試センター 2020.6.30発表)

2020年度実施の大学入試の流れ(朝日新聞2020.7.1。2020.7.14付 管理者改)

【2020年】

9月 1日(火) ~10月 8日(木) 検定料払込期間

9月 15日以降 総合型選抜(旧AO入試)出願開始(合格発表は11月1日以降)。

9月 28日 ~10月 8日 大学入学共通テスト出願

11月 1日以降 学校推薦型選抜(旧推薦入試)出願開始(合格発表は12月1日以降、一般選抜試験期日の10日前まで(共通テストを利用する場合は前日までのできるだけ早い期日))。

12月 中旬まで 共通テストの受験票などを大学入試センターから送付

【2021年】

1月 16、17日 大学入学共通テスト第1日程

   30、31日 大学入学共通テスト第2日程(全都道府県に試験場設置)①コロナの影響により学業の遅れた者を対象(高3生が希望し校長が認めた場合に選択可能。浪人生は第1日程のみ)とする。②疾病等による第1日程の追試験も兼ねて実施。

   25日~2月5日まで 国立大学一般選抜の出願期間

2月 上中旬 主要私立大の一般選抜

   8日以降 大学への共通テストの成績提供

   13、14日 大学入学共通テスト第2日程の特例追試験 第2日程の追試験として実施。大学入学共通テストを利用する選抜に出願可能。

   25日以降 国公立大学2次試験(個別試験)の前期日程

3月 8日以降 公立大2次試験の中期日程

   12日以降 国公立大学2次試験の後期日程

   22日以降 新型コロナウイルス等で前期・後期日程を受験できなかった受験生に追試実施。

 2020.7.15 追記更新 

大学入学共通テスト出願始まる 2020(R2)年9月28日(月)

初めて実施される大学入学共通テストの出願が始まった。コロナ禍で紆余曲折を経た出願開始となった。今後も課題が残っていますが、知識・理解に加えて思考力・判断力・表現力を重視した作問に期待したいと思います。不安もあるかと思いますが受験生の健闘を祈ります。

2020.9.28

共通テスト第1日程と第2日程の間の得点調整なし

 大学入試センターは、「⑵ 令和 3 年 1 月 16 日(土)及び 17 日(日)に実施する試験と令和 3 年 1 月 30 日(土)及び 31日(日)に実施する試験の間では,得点の 調整は行わない」とした。

 「福岡県の私立高3年の男子生徒(17)は「日程によって試験問題が変わるのに、学力を公平に測ることはできるのか」と不満をにじませた。出題傾向は同じとはいえ、問題が違えば難易度に差が出るのではと不安視する。「受験は1点で合否が決まってしまう世界。どちらの日程を選ぶか、決められない」」(朝日新聞2020.7.1。14版26面)。

 受験生に不満や不安が生じるのは自然なことである。平均点の差の得点調整を実質的にしない不公平は、社会(地歴・公民)、理科において、1979年1月の共通一次試験以来、2020年1月のセンター試験まで、42年間放置されてきた。平均点の不公平により、受験生の合否が決定し、進学先の変更を余儀なくされてきた。得点調整の研究をせず放置してきたことが、コロナ禍の2021年1月の共通テストで社会問題化している。平均点の不公平が地歴・公民、理科を超えて、国数英にまで拡大することになるが、この現実に直面してなお大学入試センターは対応を放棄し得るのだろうか。今からでも遅くない。AIなどの技術を使えば得点調整は可能であり、大学入試センターの職責ではなかろうか。

 これまで放置してきた大学入試センターの責任は明確であり、集団訴訟の可能性すらでてくる。本来国公立大学に合格できる学力がありながら、日程や教科・科目の平均点の差で不合格となり私立大学に入学することになれば、4年~6年間の学費は学部で差があるだろうが、理系では1人数百万円から3000万円程度になる。大規模で高額の賠償をもとめる集団訴訟が起こされる可能性がある。

 

 さらに今年度はセンター試験から共通テストに移行する年に当たっており、問題作成方針が変更される。このため、第2日程が有利と想定する受験生が出ると予測される。たとえば、問題作成方針に、「○ マーク式問題の新たな出題形式として,いわゆる連動型の問題(連続する複数の問いにおいて,前問の答えとその後の問いの答えを組み合せて解答させ,正答となる組合せが複数ある形式)を「第2」に⽰す問題作成のねらい,範囲・内容等を踏まえて,出題する場合がある」とある。

 こうした出題方式と新学指導要領に連関する出題内容の変更を第1日程で確認するため、第1日程を回避し、第2日程を選択する受験生が出る可能性を示唆した埼玉県立高校の3年担任の男性教諭もいる(朝日新聞同上)。 ただし、第2日程を選択すると個別試験までの期間が短くなるデメリットも出てくる。

 いずれにせよ、受験生が混乱、動揺する状況が生まれると推察されので、動ずることなく、自分を見失わないで初志を貫徹していただきたい。

2020.7.2最終更新

 

第1日程と第2日程の難易度の差に懸念(朝日新聞2020.8.3)。難易度の差の統御は不可能、得点調整の研究と実施を急げ。

 東北大の柴山直(なおし)教授(教育測定学)は「試験の公平性を確保するには両日程の難易度をそろえる必要があるが、今の態勢では不可能」「難易度のコントロールは専門家が責任を負うべきだ。受験生に選ばせて後悔させないでほしい」(朝日新聞2020.8.3)と述べている。

 一方、「センターの山本広基理事長は、難易度の差が出るとの指摘について、同じ問題作成者が並行して本試と追試の問題を作ることを挙げ、「同等の問題だと考えている」と説明。第2の受験者が出題傾向を把握できるとの見方については「2週間で対策を講じることは極めて困難」と語る。その上で、二つの日程の設定は「テスト間の公平性と、学習の遅れに対する公平性の両方を考えた結果、やむを得ない措置であることを理解していただきたい」」(朝日新聞同上)と話している。

 問題作成において、難易度の差(平均点の差)がでないように、問題作成者に過重な負担をかけながらも、最大限の努力はされるであろう。実際、地歴科だけみれば、近年、平均点の差は改善されている。

 しかし、柴山氏、山本氏の両者とも、同等の問題にする努力はしても、結果として難易度の差(平均点の差)がでることを否定していないし、日程が違う2種類の異なる試験なので難易度の差(平均点の差)は出るだろう。

 問題の所在は、難易度の差が得点の差となり、受験生の合否、あるいは人生に少なからぬ影響を及ぼすことである。難易度の差が出ても平均点に差が出なければ、不利益を受けることを最小限にとどめることができる。

 これまで、共通一次、センター試験を通して、社会(地歴・公民)、理科では、科目間で合否にかかわる平均点の差が出ても、事実上得点調整をしてこなかった。「事実上」とは、科目間で平均点の20点以上の差が出ないと得点調整しないのであれば、地歴・公民と理科の選択の組み合わせによっては、最大40点まで得点調整しないことである。2019年度(2020年1月実施)センター試験の「地学」のように他科目と平均点に20点以上の差が出ても、受験生が1万人未満なので得点調整していない。難易度の差(平均点の差)の問題は、2020年度入試(2021年1月実施予定)で急に出てきた来た問題ではなく、共通一次初年度以来、現在まで放置されてきた問題である。

 2021年1月は、別日程の実施となり、平均点の差が国語、数学、英語までに敷衍されることで問題が表面化し、問題視されている。ITの進化した時代である。難易度の差が出ない問題作成の努力は勿論だが、差が生じることが不可避である以上、平均点の差を調整してテスト間や科目間の公平性を担保すべきで、そのための研究と実施をすぐにしなければならないと考える。

2020.9.13更新

 

「共通テスト第2日程 高3の1割弱が希望」文科省意向調査(朝日新聞2020.8.1)

 「来年1月の大学入試共通テストについて、コロナ禍で学習が遅れた生徒のために設けられた第2日程(1月30、31日)を現時点で希望する高3生が、全体の1割弱の約3万2千人」いることが31日、文部科学省の調査で判明した。第1日程(同16、17日)の希望者は約43万1千人だった。」

 「今回の第2日程は長期休校で学習が遅れた高3生が希望して校長が認めれば、9月28日~10月8日の出願期間に選択できるほか、第1日程の追試にもなる。両日程とも都道府県に試験会場を設ける。」(朝日新聞2020.8.1)

2020.8.1

 

共通テスト、53万人志願 第2日程789人(入試センター2020.10.15)。

大学入試センターは、来年1月の共通テスト志願者は、今年1月のセンター試験よりも約2万人少ない53万5244人と発表した。

 1月16、17日の第1日程志願者が53万1118人、30、31日の第2日程は789人にとどまった。

 文科省が7月に意向調査を行った際は約3万人が第2日程を希望していたが、志願者は大幅に減った。

 

 管理者は、「平均点の不公平が地歴・公民、理科を超えて、国数英にまで拡大することになる」と指摘していたが、第2日程の志願者が少数となり、国数英の平均点の不公平は緩和された。

 しかし、地歴・公民、理科、その他の教科の平均点の不公平を放置することは許されないと考える。

2020.10.15 

 

《参考》令和4年度大学入学共通テスト

令和4年度大学入学共通テスト実施期日 令和4年(2022)1月15日(土)16日(日)

2020.7.1

大学入学共通テストは差別化できるのか

 現在の学習指導要領の中で大学入試センター試験は2019年度(2020.1実施)まで実施され、2020年度入試(2021年1月実施)から大学入試共通テストになる。同じ学習指導要領の中で、次期学習指導要領の方向性をふまえた作問をするという大学入学共通テストは、センター試験と差別化できるのであろうか。

 「知識の理解」に加え、「思考力」「判断力」「表現力」を問う問題が意図されているが、英語民間試験の導入延期、国語・数学の記述式の導入延期で、現時点で「表現力」を公平に問う問題の作成と採点が困難であることが判明した。

センター試験も進化しており、日本史では「思考力」や「資料分析力」を問う問題は作成されている。

 英語で、センター試験の筆記200点・リスニング50点が、共通テストではリーディング(筆記)100点・リスニング100点となるが、「読む」・「聞く」は変わらず、「書く」・「話す」の導入は延期された。

 大学入学共通テストの導入を急ぐことが混乱をもたらした。マーク式のセンター試験を改善することで思考力を問う方法が現実的となっている。

 高校の新しい学習指導要領(2022年度から年次進行)で高校3年生が卒業するのは2024年度である。地歴・公民、理科の記述式問題の導入は2024年度入試(2025年1月実施)からになっている。

 政府・文科省はまず予算を付けてしっかり準備をし、新学習指導要領の卒業生が受験する2024年度から、新学習指導要領の趣旨に沿った大学入学共通テスト(2025年1月)を実施し、それまではセンター試験の問題を改善して(2020年度(2021年1月実施)から共通テストに移行)対応することができるのではなかろうか。

(2019.12.17) 

 


大学入学共通テスト見直し案の概要(大学入試センターの素案)2024年度から30科目を21に再編

 新学習指導要領に基づく2024年度(2025年1月実施)以降の共通テストの素案がまとめられた。

 新たに「情報」を新設し、、現在の6教科30科目を7教科21科目に見直す素案がまとめられた。大学や高校の意見を聞いた上で、今年度内に公表される。

 英語は民間試験の活用はせず、「引き続きリーディングとリスニング」としている。

 地理歴史科、公民科は必履修科目の「歴史総合」「地理総合」「公共」が他科目と組み合わされることが想定されている。(『朝日新聞』2020.10.22)

 

【地理歴史科】

○「歴史総合2単位」「日本史探究3単位」計5単位

○「歴史総合2単位」「世界史探究3単位」計5単位

○「地理総合2単位」「地理探究3単位」計5単位

「地理総合2単位」「歴史総合2単位」「公共2単位」計6単位

【公民】

○「公共2単位」「倫理2単位」計4単位

○「公共2単位」「政治・経済2単位」計4単位

 

【地理歴史科】の探究科目を含む選択は5単位であるが、{「地理総合2単位」「歴史総合2単位」「公共2単位」}の必履修の組み合わせは授業内容が異質なうえに6単位で重くなっている。必履修科目「地理総合」「歴史総合」「公共」から選択2科目の4単位分にしたほうが公平ではなかろうか

【地理歴史科】と【公民科】から1科目選択の大学では【公民科】を選択した生徒の負担が軽くなる。特に、前記の《「地理総合」「歴史総合」「公共」》は範囲が広すぎるし、【地理歴史科】ではなく【地理歴史・公民科】のすべての必履修科目になっている。

2020.10.22